研究課題
我々は心臓、血球、血管、骨、ヒレ形成、ヒレ再生に異常のあるメダカ突然変異体を53種類、系統として確立し、特に表現型の興味深いものから順に原因遺伝子の同定を試みている。その結果、ポジショナルクローニングと核酸塩基配列の決定によって、10種類の変異体の原因遺伝子について、その変異部位が確定した。その中で、ヒレ形成変異体ufiの原因遺伝子はHoxb8であり、魚における初めてのHox familyの変異体である。Hoxb8が細胞の移動と骨芽細胞分化の制御に関与し、それが異常になるとヒレが萎縮する。また心筋形態異常を示す変異体sdcの原因遺伝子はfilamin Cであった。この変異体は心室の心筋の一部が欠損する異常を示し、これに関与するfilamin Cは心筋・骨格筋の形成に機能する細胞内蛋白であり、アクチン重合を制御している。骨形成においては、椎骨がジグザグに変形する突然変異体の原因遺伝子は、体節形成の必須遺伝子、Notch 1であった。この結果は、椎骨の形態は初期の体節パターンが基盤になっていることが明らかになった。さらに、メダカにおいて初めて破骨細胞が見出され、特に咽頭歯においては多核破骨細胞が存在し、骨吸収している像が観察された。このことから、メダカにおいても骨リモデリングの存在が明らかになった。血管形成において、器官形成の基盤となるメダカ血管発生のアトラスが完成した。この結果、メダカはゼブラフィッシュに比べて、哺乳類に近い血管発生様式を持つことが明らかになった。
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