研究課題
基盤研究(B)
両生類網膜再生の分子・細胞機構について、イモリとアフリカツメガエルを用い、比較研究をおこなった。以下の項目に関して研究を実施し、成果を得た。(1)研究代表者が開発した器官培養系を用いて、イモリ色素上皮の分化転換過程を解析した。特に、脈絡膜の機能を明らかにした。脈絡膜に由来する液性因子が分化転換に必須であることを示した。この液性因子はFGF2と予想されるので、FGFシグナルの阻害剤を用いて、その作用機構を明らかにした。さらに、特異抗体を用いて、fgf2の分布様式などについて従来不明であったが、新しい知見を得た。(2)成熟した動物で、網膜が完全再生するものは、有尾両生類だけであるとされていたが、無尾両生類アフリカツメガエルでも網膜が再生することを、生体においても培養系においても明らかにした。これは、有尾両生類以外の種で網膜が再生することを示した初めての報告である。(3)新規に開発した、網膜の層構造再生を可能とする器官培養系を用いて、色素上皮細胞の分化転換の初期過程を解析した。とくに、再生初期に発現するPax6の動態と再生因子FGF2に対する反応性を調べることによって、分化転換の初期状態をいくつかの段階に区別することができた。また、この培養によって、色素上皮から網膜の層構造が再生することに初めて成功した。(4)アフリカツメガエルのRx promoter-EGFPおよびPax6 promoter-EGFPトランスジェニック個体を作製し、promotor活性が正しく制御されている事を確認した。再生過程を、培養系および生体内で追跡し、いつどのようにpromoter活性が発現するかを明らかにした。これは、網膜再生研究にトランスジェニック技術を応用した最初の研究であり、今後、F1世代の確立によって、よりいっそうの成果が見込まれる。
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