研究課題/領域番号 |
17370089
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
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研究分担者 |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70209617)
川久保 善智 佐賀大学, 医学部, 助教 (80379619)
鈴木 敏彦 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70261518)
安達 登 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
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キーワード | 人類学 / 遺伝学 / 東北地方 / 北海道 / 古代蝦夷 / アイヌ / 縄文人 / 二重構造論 |
研究概要 |
1 頭蓋の形態小変異6項目を用いて、東日本縄文人、北海道アイヌ、東北地方古墳人・江戸時代人・現代人、関東地方古墳人・江戸時代人・現代人および九州地方古墳人・江戸時代人・現代人相互の形態学的距離を求めた。その結果、東日本縄文人からの距離は九州→関東→東北→北海道という順に小さくなり、明らかな形質の地理的勾配が確認され、それは古墳時代でとくに明瞭であった。このことから北東北の古墳人と縄文・アイヌ群は一線をもって画することができないと推測された。 2 頭蓋の計測値18項目を用い、東日本縄文人、北海道アイヌ、東北地方古墳人・江戸時代人・現代人、関東地方古墳人・江戸時代人・現代人および九州地方古墳人・江戸時代人・現代人相互のマハラノビス距離を求めた。その結果、縄文人やアイヌに最も近似するのは東北古墳人と北東北江戸時代人であった。さらに同じく18項目の計測値を用いて、東日本縄文人ならびに北海道アイヌと九州弥生人ならびに九州江戸時代人を基準集団として判別分析をおこなうと、頭蓋形態小変異の結果と同様に、九州→関東→東北→北海道という滑らかな形質の地理的勾配が観察され、北東北江戸時代人と北海道アイヌは連続していることが明らかとなった。 3 上記1,2の結果から、北東北の古代蝦夷がアイヌか日本人(和人)か、という古くからの論争は意味をもたず、古代蝦夷はアイヌと和人が分化する以前に北東北に生活していた人たちであると結論された。 4 北海道縄文人骨のミトコンドリアDNAハプログループの特徴はN9bが圧倒的多数であることであるが、東北地方縄文人にもN9bがかなり高頻度でみられ、東北地方古墳時代人骨にもこのハプログループN9bが認められた。
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