研究概要 |
【研究のねらい】 若年者や高齢者,男性や女性など体格や運動能力などが異なる誰もが,より適応しやすく,使いやすい操作機器を設計するためには,実際の操作姿勢において能動的に発揮する力の特性(能動的な力覚)を考慮することが必要である. そこで本研究課題では,実際の産業車両における操作姿勢での,手による比較的ゆっくりとした入力操作を対象とし,能動的な力覚の基本特性(最小/最大発揮力,発揮力の大きさの感覚など)と個人差(年齢差,性差)を明らかにすることを目的とした. 【平成17年度〜19年度のまとめ】 ジョイスティックを把持した手により発揮される,トルク方向の力を対象に,20〜30歳代の若年群(男性10名,女性7名),40〜60歳代の中高年群(男性8名,女性8名)の被験者を対象に,1)最大/最小発揮力の方向依存性,2)視覚フィードバック有無による最小発揮力の差,3)受動的な感覚特性であるWeberの法則/Weber-Fechnerの法則が能動的な力覚においても成立つか,について検証を行ない,性差,年齢差の比較を行なった.その結果, 1)については,橈屈方向は他の方向と比較して最大発揮力は小さく,最小発揮力は大きく,力を制御し難く,方向依存性がある傾向を示した.また最小発揮力は男性の方がより小さな力を発揮できる可能性が示された. 2)については,視覚フィードバックが無い場合の最小発揮力は,視覚フィードバックがある場合の約2倍大きくなった. 3)については,性差,年齢差に関係なくWeber則の特徴(定常発揮力の増加につれてWeber比が一定値に収束)を示した.視覚フィードバックがある場合でのWeber比は0.1〜0.2程度であった.Weber-Fechnerの法則については個人差による計測値のバラツキが大きく,Weber-Fechne則が成立つか確認できなかった.
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