研究課題/領域番号 |
17380004
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 清春 神戸大学, 遺伝子実験センター, 教授 (60346252)
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研究分担者 |
今石 浩正 神戸大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (50223318)
乾 秀之 神戸大学, 遺伝子実験センター, 助手 (90314509)
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キーワード | エピジェネティクス / 非メンデル遺伝 / ホモ突然変異 / 脱分化 / カルス / マイクロアレイ / 遺伝子修飾 / スプライシング |
研究概要 |
本研究はイネの培養細胞からの復原個体に出現する非メンデル遺伝をするホモ突然変異の出現の分子機構の解明を目指したものである。非メンデル遺伝の現象は以下のとおりである。(イ)イネの組織培養からの復原個体当代において約10^<-2>の頻度で特定の形質(本研究の場合は短稈)で遺伝的にホモ(同質接合体)であるような突然変異体が得られた。(ロ)この突然変異体は自殖することにより、10世代、10年以上も安定して遺伝した。(ハ)他の正常な品種・系統、あるいは通常のメンデル遺伝をする短稈突然変異体との正逆交雑では何れもF_1以降変異形質が消失してしまう。そのため遺伝解析においては、ヘテロ体やマーカーが利用できず、また、DNAメチレーションによる解析でもこの突然変異体の出現機構を明らかにすることはできなかった。 しかしながら、完全長cDNAを利用したオリゴマイクロアレイ及びプロテオミクスデータベースなどの整備により、あらたに研究を進めることが可能となった。突然変異体と対象の二次元電気泳動によるプロテオミクスデータベース解析においては、検出できる差異を見出すことができなかった。Agilent社のイネ21Kマイクロアレイによる両者の比較解析では変動する遺伝子が増減合わせて25遺伝子であることが確認された。遺伝子解析等によりしぼりこんだ結果8個の遺伝子がホモ突然変異系統に関与している可能性が示された。非メンデル遺伝個体の再度の脱分化、再分化に対する特性の安定性を確認するため、短稈突然変異体種子よりカルス誘導および植物体の復原を行い、その次代について草丈を測定したところ非メンデル遺伝特性は安定して保持されていることが示された。そこで、非メンデル遺伝突然変異体と対象を脱分化させ、カルスにおけるマイクロアレイ解析についても行った。その結果、ホモ突然変異系統に関与している可能性のある遺伝子は4個にまで絞り込めた。
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