研究課題/領域番号 |
17380007
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
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研究分担者 |
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (10210345)
黒坂 光 京都産業大学, 工学部, 教授 (90186536)
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キーワード | パンコムギ / Ae.mutica / 細胞質置換系統 / ミトコンドリア / 雄性不稔 / atp1 / cox1 / 2次元電気泳動 |
研究概要 |
本研究はパンコムギに雄性不稔などの表現型の変化をもたらす、Ae.muticaのミトコンドリアゲノムの原因遺伝子を探索することを目的とする。そのため異なる2系統のAe.muticaに由来する、2種類のプラズモン(T型とT^2型)のミトコンドリアゲノムを、DNA、RNA及びタンパク質の各レベルで比較した。今年度はまず、パンコムギとAe.muticaのミトコンドリアゲノムの構成を、ほぼすべてのミトコンドリア遺伝子プローブを用いたサザン解析により調べた。その結果、T型とT^2型間でコピー数の変化を伴う構造変異は、atp1、cox1及びrrn18+5の3つの遺伝子領域に限られることがわかった。また、rrn18+5遺伝子の構造解析を行なった結果、T^2型特異的なキメラrrn18遺伝子が見出された。さらに野生のAe.muticaを用いた実験により、このrrn18遺伝子領域の構造変異は、種内変異として既に野生植物に存在していることがわかった。これら3つの変異領域に存在する遺伝子のノーザン解析を行ったところ、T型とT^2型間での違いは認められなかった。しかし細胞質置換コムギのcox1遺伝子のmRNA蓄積量がパンコムギと比較して著しく低下していることが新たにわかった。またミトコンドリアタンパク質の構成を2次元電気泳動により比較したところ、プラズモン特異的なスポットが観察された。次年度以降、これらのスポットの特定をさらに進める予定である。一方、網羅的なサザン解析の過程で、Ae.muticaでは、rp15遺伝子がミトコンドリアゲノムから消失し、核ゲノムへ移行していることが発見された。コムギ・エギロプス属植物2倍種におけるrp15遺伝子の存在様式を体系的に調査したところ、種間で差異が認められ、rp15遺伝子のゲノム間移行が両属各種が分化した後にも進行していることが示唆された。
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