研究課題/領域番号 |
17380007
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
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研究分担者 |
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (10210345)
黒坂 光 京都産業大学, 工学部, 教授 (90186536)
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キーワード | パンコムギ / Aegilops mutica / 細胞質置換系統 / ミトコンドリア / 雄性不稔 / atp9 / orf260 / RNA editing |
研究概要 |
本研究は、細胞質置換コムギの表現型に変化をもたらす、Aeglops muticaのミトコンドリア遺伝子の同定を目的とする。これまで、T型及びT^2型細胞質を持つAe. mutica細胞質置換コムギを用いたミトコンドリアゲノムの構造解析から、これらの細胞質型に特異的なキメラ遺伝子が存在することを明らかにした。本年度は、雄性不稔を引き起こすT^2型細胞質に見いだされた伸長型atp9(以下e-atp9)、orf260両遺伝子について詳細な解析を行い、表現型との関連を探った。e-atp9はパンコムギの正常型atpと比べorfの3'末が伸長しており、ゲノムの塩基配列からは翻訳産物のC末に6つの余分なアミノ酸を持つと予測される。しかし植物ミトコンドリアではRNA editingが知られており、転写産物の配列を知る必要がある。そこで、出穂期の穂、実生の葉、根の各器官からe-atp9のcDNAクローンを多数単離し、RNA editingの頻度を調査した。その結果、ほとんどの転写産物が効率よくeditingを受けており、タンパク質レベルでは両者の違いがキャンセルされていることがわかった。興味深いことに、editingを受けていないe-atp9転写産物が一部観察されたが、これらにはミトコンドリア転写産物の分解タグとして知られるpo1y-(A)が付加されていた。したがってpoly-(A)タグを介した分解機構がE-ATP9への翻訳を阻止するために機能している可能性が考えられた。orf260の詳細な機能を探るため、この遺伝子を大腸菌で発現させ、その特性について調査を行った。ORF260全長を大腸菌で発現させたところ、このタンパク質は大腸菌に強い毒性を示した。orf260の発現部位やタグの位置を変更したコンストラクトを用いた実験から、N末端に存在する疎水性領域が大腸菌に致死性をもたらすことがわかった。
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