研究概要 |
(1)輸作体系の中で重要な位置を占めるマメ科作物としてタイズとラッカセイが挙げられ,日本国内でも転換畑や普通畑における重要な作物である。しかし,ラッカセイにおける根系形成に関する知見は少ない,そこで本研究ではラッカセイの根系形成解明の一環として,今年度は根系形成,根粒分布と窒素固定能力との関係について検討した。まず,ラッカセイの根粒の形態学的な特徴を確認した上で,個々の根粒サイズと窒素固定能力との関係について調査した結果,根粒の直径を測れば根粒の窒素固定能力を評価できることが明らかになった。次に,圃場において根系形成と根粒形成の調査を行ったところ,ラッカセイでは多くの根粒が1次側根から2次側根が分岐する部分に形成されることが分かった。これは他のマメ科作物とは異なるラッカセイ固有の特徴的な分布であることが確認された。さらに,ラッカセイの根系形態を変化させる目的でラッカセイの主根の根端を切断したところ,主根基部側から派生する1次側根が長くなり,それに伴って根粒部分も変化した。この実験結果から,根系を変化させれば窒素固定能力を制御できる可能性が示唆された。 (2)根圏薇生物などの土壌微生物評価方法は従来から培養試験で行われてきたが,培養法は操作が煩雑の上,土壌全体の数%の微生物しか把握することが出来ないことが知られている。このような状況を踏まえて,本研究では,水田土壌と畑地土壌の根圏微生物叢の解析にPCR-DGGE法やFISH法などを導入した結果,水田と畑地の根圏微生物を構成する微生物種は異なり,水田では嫌気性菌のClostridium属,畑地では好気性菌のBacilus属がそれぞれ優占することが確認された。このように,根圏微生物の解析に分子生物学的手法を取り入れることにより,従来法より,簡便に多くの知見を得ることができた。
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