開設以来30年以上を経過した国営公園などの大規模都市公園においては、施設の老朽化・社会的陳腐化などにより、当初の設置目的を失いつつある現状にある。そこで、公園の再整備計画を立案する必要があるが、計画者の公園に対する自然環境や集客力に関する投資価値判断に違いがあり、最適な計画案を予算とイメージを連動させながら立案する方法論が未整備である。本研究の目的は、ネットワークゲームにより大規模都市公園を計画できるシステムを構築することである。国営沖縄記念公園海洋博覧会地区を対象に、現実の施設内容と整備費用を、公園の整備図書などに基づき初期値としてセットし、様々なリニューアルメニューを整備水準と必要な単価に応じて設定して、それを計画者が自由に画面上で選定し、配置し直すことにより、リアルタイムに整備費と整備期間に応じた計画案をネットワーク上で操作できるシステムが構築できた。ネットワークゲームは1.配置エンジン(公園の地形や施設配置の操作)2.パラメータエンジン(様々な施設の規模・形態・単価・整備ランクなどのメニューデータ)3.ビジュアライゼーションエンジン(計画案の3DCG景観シミュレーション)の3つのエンジンを独立した構造としたため、それぞれを入れ替えることにより、様々な公園に応用できる利点がある。実際に被験者にゲームを操作してもらい、そのログを分析することにより、被験者がどのタイミングでどのような施設をどのような整備水準と単価で設定したかが判明し、同時に行う被験者の公園に対する価値判断アンケートと対応させることにより、計画者の公園再生案に関する選好特性が分析できる。本研究期間においては以上の技術的な成果を得たが、計画者の属性に応じた選好特性の総合的な分析と評価については今後の課題とする。
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