研究概要 |
・文化庁による調査「農林水産業に関連する文化的景観の保護に関する調査研究」(平成12〜14年)の中から、重要地域「集落に関連する景観(13事例)」および「複合景観(54事例)」を対象として調査を実施した。その67事例に関して地形図(1/2,5000,管内図等)での検討を行い、この段階で景観構造の把握が可能な24事例に絞り、空中写真、景観写真を収集するとともに、景観を形成し支えてきた地域情報(地域の歴史、生活文化、産業等)に関する情報も収集し景観構造について検討を行った。 ・そしてさらにその中で、特に平地水田型の農村地域に焦点をあて、集落の形状が典型的な塊村形式と散居形式を設定し、典型的な塊村型の黒部川扇状地、手取川扇状地、散居型の砺波地域、出雲地域をケーススタディエリアとした。そして、各々の文化的景観を構成する要素が形づくる構造について検討したところ、塊村型の場合には微地形による高低差、屋敷周辺の森林、道路の形式に特徴があることが整理され、それを支える要因としては、水の利便性や水害リスク、風向や風力が影響していることが検討された。 ・また、こうした文化的景観を保全する仕組み(制度)に関して、白川町荻町と下郷町大内宿において詳細調査を実施した。その結果、各々の文化的景観の特徴を保全していくことが必要であるもの、現行の景観要素を中心として保全していく制度では限界があることが指摘された。そして要素間の関係を保全するための仕組みとして、景観コードを設定し、その保全を担保するような制度が必要であることが考察された。
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