キクスタントウイロイド(CSVd)の部分配列を導入した形質転換体の作出法の開発に関しては昨年度までの研究において準備が終了している。昨年度35Sプロモーターがキクで機能していないことが明らかとなったため、本年度はpMASプロモーターを利用した形質転換体の作出を試みた。CSVdの部分配列をキクのイントロンでつないだsiRNA配列をpMAS下流につなぎ、昨年度に選抜したI系統(形質転換しやすい系統)に導入した。これらの形質転換個体を育成し開花反応を確認したが、現在までのところ開花反応に違いは見られない。CSVdの感染によってキク‘ピアト'は日長反応性が乱れるため、‘ピアト'を接ぎ木することによって‘ピアト'で日長反応性を評価する必要がある。また、形質転換を行ったI系統についてもCSVdでの日長反応性のかく乱を調査する必要があろう。 本年度はその他のベクターとしてRNAiベクターの構築に用いたものと同じ部分配列をセンスあるいはアンチセンス方向でpMAS下流に組み込んだバイナリーベクターを構築しており現在形質転換体の作出を進めている。 また、予備実験としてキクの日長反応性のかく乱にある種のキクの生態型が関わる可能性が考えられたため、様々なキク品種にCSVdを感染させその開花反応を調べた結果、生態型との関わりは認められず、CSVdによる開花反応のかく乱は品種によるところが大きいように思われた。現在、CSVd感染ベクターの構築を進めており、この点に関してはCSVd単独の影響を詳細に調べる予定である
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