研究概要 |
1.硝酸低減化葉菜類の生産:ケイ酸の硝酸低減効果の有無を確かめるため、ケイ酸を添加した低硝酸培地でコマツナを栽培し、生育応答および植物体の硝酸態窒素濃度の消長について検討した。培地の低濃度硝酸処理により、コマツナ中のNO_3-N含量が低下した。また、この培地へのケイ酸添加により生育の遅延が軽減される傾向にあった。しかし、培地のケイ酸濃度とコマツナ中NO_3-N含量との関係は認められなかった。 2.味質改善および機能性向上を目的とした各種成分の導入:ステビア甘味成分の中で味質の良いRebaudioside-A(Reb-A)が、フリルアイス,リーフレタスおよびホウレンソウに導入されることを確認した。また、アスコルビン酸(AsA)と同時導入するとReb-Aの吸収が促進された。リーフレタスを使用し、香り成分としてマスクメロン香料液,ピーチ香料液,オレンジ香料液とAsAの同時導入を試み、これらの成分が有意な量導入可能であることを確認した。さらに、辛み成分であるトウガラシエキスとAsAの同時導入も可能であることを認めた。官能評価では、甘味成分が導入されると、甘味が増し、苦みが緩和されるとする意見が多かった。また香り成分導入野菜では,マスクメロン香料処理で他の香り成分に比ベレタスに対する違和感が無く、対照区の野菜より食べやすいとの評価であった。 以上、一連の研究により水耕葉菜類に味質を変える香り成分や甘味成分が導入可能であり、味質も改善されるが、これらの導入成分処理は植物にストレスを与え、明かな萎凋を生じるので、今後できるだけ萎凋を軽減する導入方法を検討する必要がある。
|