研究課題/領域番号 |
17380026
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前中 久行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80081553)
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研究分担者 |
北宅 善昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60169886)
下村 泰彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (50179016)
中桐 貴生 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (80301430)
中村 彰宏 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (20264814)
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (70305655)
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キーワード | 屋上緑化 / 微気象緩和 / ヒートアイランド / 緑地創成 / 生物種多様性 / 蒸発散 / 流出水 / 溶液栽培 |
研究概要 |
屋上緑化の助成制度を有する全国の自治体のリストアップを行った。既存のアンケート資料の解析から、都市住民の屋上緑化に対するニーズは高く、大規模民間施設の緑化義務付けに賛同意見も多いことから、屋上緑化に対する都市住民の環境評価額は低くないと推測された。 大阪府大農学部本館屋上に、屋上緑化による微気象緩和効果の定量的評価を目的に3m×3mの水槽と芝生、その他各種の植栽と測定装置を設置した。雨量、日射量、風速、乾湿球温度、池の水温、池および芝生の底面部における熱流量を自記計測した。 水環境負荷の緩和効果として、緑化施設によって降雨が一時的に貯留され洪水流出の遅延効果が認められた。流出水の物質濃度と負荷量のいずれでみても大気からの汚濁負荷の軽減効果は期待できないと判断された。ただし、酸性雨水の負荷には効果が期待できる。雨量と池の水位測定から、夏季76日間の水面からの蒸発散量は361。3mmと算出され、屋上の池は森林と同程度の蒸発散を行うことが明らかとなった。地上と屋上における水深約20cmの水槽での捕虫網による掬い取りと目視により、ウスバキトンボなど4種のトンボ類幼虫のほか、ハイイロゲンゴロウ、マツモムシなど4種の水生昆虫が確認されたが、地上と屋上では種構成は異なっていた。屋上のヨシ栽培槽について、自動撮影装置で鳥の飛来を調査し、ハシボソガラスとハクセキレイを撮影した。軽量で管理の容易な養液栽培システムを用いてサツマイモを栽培し、その成長および葉群による屋上表面温度低減効果について検討した結果、葉群被覆下のコンクリート表面温度は、被覆のない場合に比べて最大で14℃低下した。葉の蒸散速度が高く、1株での被覆面積が大きい品種は、温度低減に効果的であった。塊根収量は一般の土耕栽培と同等であった。芝生およびセダム群落からの近赤外域における分光反射率は土壌の乾燥化に伴い低下した。
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