研究課題
基盤研究(B)
1.Brome mosaic virus(BMV)はCol-0に感染せず、cpr5変異体に効率よく全身感染する。同様に、BMVはCol-0細胞よりもcpr5細胞において効率良く増殖した。複製酵素成分をコードするゲノムRNA1や2の非翻訳領域をもつルシフェラーゼmRNAの接種プロトプラストにおける翻訳活性を調べた結果、Col-0からcpr5で翻訳活性が上昇した。2.cpr5以外にBMV感染を許容する既存の変異体としてssilを同定した。CPR5の過剰発現は、BMVに加えてSpring beauty latent virusの増殖も抑制したことから、CPR5遺伝子の有無の影響の違いは、増殖抑制の解除の違いによるという可能性が示唆された。3.BMV-M1系統と異なり、BMV-M2系統やBMV-PV180系統はCol-0細胞においても高度に蓄積した。全身感染宿主のオオムギの細胞では、系統間に差異は認められなかった。この現象には後者2系統のRNA2の3'非翻訳領域が関与していることが示唆された。4.Cowpea chlorotic mottle virus-cpr5変異体の系におけるウイルス移行の促進機構には、移行に関連した3aタンパク質と外被タンパク質の発現量の違いが直接関与していなかった。5.モデル植物のNicotiana benthamianaから、BMVの移行タンパク質と相互作用するNascent polypeptide associated complexのαサブユニット遺伝子を同定した。この遺伝子の発現を抑制した形質転換植物を作出し解析した結果、本遺伝子産物は、BMVの細胞間移行をサポートしていることが示唆された。ブロモウイルスの植物への感染において重要なステップであり、非宿主抵抗性においても重要であると予想されている細胞間移行の機構の一端が明らかとなった。
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Molecular Plant-Microbe Interactions 20(印刷中)
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