研究課題/領域番号 |
17380031
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大西 浩平 高知大学, 総合研究センター, 准教授 (50211800)
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研究分担者 |
曵地 康史 高知大学, 農学部, 教授 (70291507)
木場 章範 高知大学, 農学部, 准教授 (50343314)
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キーワード | 遺伝子 / 病原性細菌 / シグナル伝達 / トマト / ナス科植物 |
研究概要 |
植物病原菌のRalstonia solanacearum(青枯病菌)はナス科植物の根から侵入し、細胞間隙で増殖したのち、導管壁を酵素により溶解し導管内に侵入する。その後、導管内で細胞外多糖を大量に分泌することで、導管を閉塞させ植物を枯死させる。我々は、導管に侵入するまでを感染初期過程と考え、その間における病原性関連遺伝子の発現様式について研究を行った。 シグナル伝達系の解析 hrpレギュロン全体の発現を直接的に調節するのはHrpBである。従来PrhAによって認識された植物シグナルがPrhI/PrhR-PrhJ-HrpGという伝達系を通してhrpBの発現を調節していると考えられてきた。我々はhrpBの発現が見られない富栄養培地条件においてもprhA-prhI/R-prhJ-hrpGは高いレベルで発現していることを見いだした。また、prhA変異株では、同条件でもprhJ-prhGの発現が見られなかった。すなわち、このシグナル伝達系は植物シグナルではない、別のシグナルを認識していることが明らかとなった。一方、青枯病菌が植物と共存するときにはresponse regulatorであるHrpGがリン酸化されてhrpBの発現を正に制御していることも見いだした。HrpGのリン酸化に関与したsensor kinnaseこそが植物シグナルを受容する因子であることが強く示唆された。 新たなhrpレギュロン制御因子の制御機構 昨年度までに見いだしたhrpGホモログのprhGの発現が、PhcAによって正に制御されているという興味深い結果を得た。PhcAは間接的にhrpGの発現を負に制御していることから、hrpBの正の転写制御因子という同じ活性を持つ2つのタンパク質の発現が全く正反対の制御を受けることが示された、これはPhcAの活性化が細胞濃度依存的であることと密接に関係していることを意味している。
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