研究課題/領域番号 |
17380033
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
比留間 潔 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70374816)
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研究分担者 |
冨田 秀一郎 農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究・情報解析ユニット, 主任研究員 (30360457)
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キーワード | ホルモンレセプター / 幼若ホルモン / エクダイソン / カイコ / 器官培養 / 転写因子 / 遺伝子 / コミットメント |
研究概要 |
カイコの転写因子であるBHR4は、エクダイソンの血中濃度の上昇に反応して発現し、脱皮前に発現が停止することが知られている。カイコの蛹化脱皮前の時期にBRR4の発現を強制的に持続させると、脱皮行動を起こさない個体が観察されることを昨年度明にした。しかしこれらの個体もクチクラのアポリシスまでは正常に行っていた。このことから、BHR4の発現停止とエクダイソン濃度の低下には、何らかの関連性があることが示唆されるが、エクダイソンのアゴニストを蛹化前のカイコに注射したところ、BER4の発現停止に影響は見られなかった。ゆえにBRR4の発現停止がエクダイソンの血中濃度低下に影響している可能性が考えられた。BHR4過剰発現個体ではエクダイソンの血中濃度が低下しないことを見出し、正常に脱皮するにはBHR4の発現が止まることが必要であることが明らかとなった。 幼虫特異的組織である腹脚のカギ爪(crochet)は、蛹化に向かい退化する。すなわち、crochetの細胞死が起こる。この過程で、crochet細胞の形成能力の低下は、4齢後期から5齢4日目にかけて2段階で起こり、その後、5齢3-4日目にcrochet細胞の細胞死が起こることをすでに見出している。1段階目の能力の低下は上昇するエクダイソンによって引き起こされ、2段階目は栄養の摂取によっていることを突き止めた。その時annexin IXが上昇し、その後転写因子であるE74Bの上昇低下が見られ、これら因子の共同作用により、crochet細胞の形成能力の低下から細胞死に至ることが示唆された。
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