研究課題
基盤研究(B)
Genomic作用に関しては、20E応答初期遺伝子の発現動態の全貌をin vivo及びin vitroで明らかにした。mEcRのクローニングは、受容体を活性を保ったまま可溶化できたが、タンパク精製、単抗体作成の両面から進めた結果、いずれも成功に至らなかった。2007年度からはカイコガゲノムデータベースから可能性のあるGPCRを網羅的に拾い出し、そのすべてに対しての発現解析をRT-PCRにより行っている。可能性のあるGPCRは100数十であり、ほぼ半数の解析を終了したが、未だに候補遺伝子を推定するには至っていない。想定される20E膜受容(mEcR)体の下流にあるシグナル伝達経路の検証を行い、以下のような、その全体を概観しうる結果を得た。mEcRはおそらくGタンパク質共役型(GPCR)であり、Gqサブユニットが共役している。次いで、phospholipase C-βの活性化、inositol 3-phosphate(IP3)の生成と続き、これがセカンドメッセンジャーとして働く。IP3は小胞体(ER)のIP3受容体に結合し、Ca^<2+>の細胞内濃度上昇を促し、protein kinase C(PKC)の活性化を介してカスパーゼ3を活性化し、核とDNAの断片化に至る。一方、核の膨潤は、この経路とは異なり、カルモジュリン-CaMKIIの経路による。ただし、CaMKIIの活性化はCa^<2+>非依存的であり、Gβγ-DG経路による可能性はあるが、その機構は不明であり、残された課題である。また、カスパーゼ3の活性化は、PKC阻害剤でもCaMKII阻害剤でも抑制されること、細胞形体の変化もCaMKII阻害剤で抑制されることから、細胞死はPKCとCaMKIIの二重支配下にあるものとされた。
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