研究課題
スズメバチ類に関しては、キイロスズメバチの警報フェロモン成分の特定を行い、その成果を国内学会で発表した。近年、都市部でも増加傾向にあり、衛生害虫としても注目されているキイロスズメバチのコロニーレベルでの統制のとれた激しい防衛行動が、毒液中に含まれる揮発性物質のブレンドで引き起こされることが明らかとなった。得られた知見がヒトに対する刺症事故の回避に応用されることが期待される。また、捕食者オオスズメバチの体臭成分中に、その被食者キイロスズメバチが忌避性を示す物質が含まれている可能性も示唆され、忌避剤開発の実現性がみえてきた。さらに社会寄生種チャイロスズメバチとホスト間の認識に関与する化学物質の存在も示唆され、国際誌(J.Insect Physiol.)に掲載された。マルハナバチ類では、日本在来種と特定外来生物に指定されたセイヨウオオマルハナバチのフェロモンを比較分析し、種特異的な香気成分(アルコール、アルデヒド、脂肪酸エステル)を検出し、国際学会で発表した。また、それらの香気成分とマルハナバチの訪花する花の香成分との関連性を考察し、国内学会で公表した。マルハナバチ類は、農業の面から施設栽培作物の授粉昆虫としてその利用拡大が期待される一方、生態学の面から適切な管理も求められている。今後、それらのフェロモンを製剤化して施設内に設置し、様々なマルハナバチ種の生殖虫を温室内で捕獲する技術の開発へと発展することが期待される。フェロモン成分分析用などのために室内で飼育されていた供試虫の生育過程で得られた生物学的知見について、2つの国際誌(lnsectes Sociaux と Ecol.Res.)に掲載された。
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http://www.kenkyu.tamagawa.ac.jp/Profiles/0002/0001969/pblc1.html