研究課題/領域番号 |
17380039
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
畠山 正統 独立行政法人農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ, 主任研究官 (50281142)
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研究分担者 |
瀬筒 秀樹 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫生産工学研究グループ, 研究員 (70342805)
新美 輝幸 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00293712)
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キーワード | 昆虫 / バイオテクノロジー / 遺伝子発現制御 / トランスジェニック / トランスポゾン / 分子生物学 |
研究概要 |
昆虫における遺伝子機能解析では、目的遺伝子の導入と導入された遺伝子の発現制御が必要不可欠である。また、非モデル昆虫では、機能遺伝子の網羅的探索のためのエンハンサートラップ法や突然変異誘発法の開発も求められる。トランスジェニック技術が確立されているカブラハバチ(膜翅目)、カイコ(鱗翅目)、ナミテントウ(鞘翅目)を用いて、導入遺伝子の発現制御が容易にでき、非モデル昆虫に応用可能な遺伝子解析システムの開発を目的とし、本年度は、テトラサイクリンの有無によって制御できる遺伝子発現制御システム(tTA/TREシステム)の有効性を検討した。 キイロショウジョウバエで作動を確認した、piggyBacトランスポゾン由来で、熱ショックタンパク質遺伝子(hsp70)プロモーターで制御できるtTA発現ベクターと、TRE制御下でマーカー蛍光蛋白質遺伝子を発現するTREベクターを用い、それぞれの種でトランスジェニック系統を作出した。カブラハバチでは、tTA、TREの両方を持つ胚でのみマーカー遺伝子が発現し、この発現は雌親へのテトラサイクリンの経口投与により抑制できた。カイコでは、tTA、TREの両方を持つ3系統において、いずれも卵では熱ショックによる誘導性が低かったが、幼虫では熱ショック誘導によるマーカー遺伝子の発現が観察された。また、人工飼料へ混合してのテトラサイクリン投与が可能であり、生存・生殖に影響がないことを確認した。ナミテントウでは、tTA、TREを導入した形質転換系統を用いて、マーカー遺伝子の発現条件の検討を行っている。このように、いずれの種でも遺伝子発現制御にtTA/TREシステムが利用できることがわかった。 さらに、キイロショウジョウバエとカイコを用いて、上記システムに使用可能な汎用性のある高い発現を示すプロモーター候補としてBmNPV ielプロモーターが有効であることを示した。
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