研究課題/領域番号 |
17380055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 別府大学 (2007) 九州大学 (2005-2006) |
研究代表者 |
古川 謙介 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (90221556)
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研究分担者 |
後藤 正利 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90274521)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 偏性嫌気性菌 / 脱塩素化反応 / 脱ハロゲン呼吸 / Desulfitobacterium |
研究概要 |
本研究は環境汚染物質である揮発性高塩素化合物を高度に脱塩素化する偏性嫌気性細菌についてその脱ハロゲン呼吸のメカニズムを解明するため、基礎・基盤研究を行った。我々が先に分離したDesulfitobacterium hafniense Y51株はテトラクロロエテン(PCE)を最終電子受容体としてcis-1,2-ジクロロエテン(cis-DCE)へと脱塩素化して生育する。本研究ではまず、Y51株から脱塩素化に関与するpceABCT遺伝子をクローン化した。このpce遺伝子群は二つの相同な挿入配列で挟まれ複合トランスポゾンとして機能することを明らかにした。PceAは脱塩素化酵素、PceBは膜結合タンパク質であること、また、機能不明であったpceTの産物(PceT)はPceAに特異的に働く分子シャペロンであることが判明した。すなわちPceTはTat輸送を受ける前のPceA前駆体と特異的に結合することが免疫沈降実験により明らかとなった。次にY51株を最小液体培地に接種し、1μMのクロロフォルム(CF)を添加して培養すると生育阻害が起こりlag期が長くなる、また、pce遺伝子クラスターを欠失したLD株が高頻度に出現することを明らかにした。これらの結果とさらなる生化学的・分子生物学的解析からCFは還元的脱ハロゲン酵素であるPceAの補欠分子族であるコリノイドと結合してフマル酸呼吸の電子伝達系を阻害することが明らかとなり、そのモデルを提唱した。 偏性嫌気性細菌による脱ハロゲン呼吸の分子機構はまだ、未知なところが多い。今後はこの重要な脱ハロゲン呼吸細菌類における宿主ベクター系の開発、及び脱ハロゲン呼吸に関与する遺伝子の異種発現系の開発が重要である。
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