研究概要 |
アフラトキシンは特定のカビが生産する二次代謝産物であり、アフラトキシンに関与するほとんどの酵素遺伝子は70kbに及ぶ遺伝子クラスターを構成し、遺伝子クラスター上の制御遺伝子aflRの発現によってポジティブに制御されている。そこで、本研究は、環境変化がどのようにaflRの発現を制御するかを解明することが目的である。 18年度は、17年度に構築したaflR-aflJ-β-glucuronidase(GUS)レポーター遺伝子を、アフラトキシン生産菌Aspergillus parasiticusのゲノム上のaflR-aflJ領域に導入した。ピリチアミン耐性で選抜後、選抜した変異株についてPCRで遺伝子構造を調べて目的の形質転換体を選択した。GUS活性を調べたところ、マイクロタイタープレートを利用するGUS活性測定法では、GUS活性の指標となる青色色素生産は培地特異性を示し、アフラトキシン生産誘導条件または非誘導条件で活性が顕著に異なることが確認できた。 さらに、アフラトキシン生産菌Aspergillus parasiticusのゲノムから、情報伝達制御に密接に関与すると予想されるcAMP合成酵素(adenylate cyclase : ACase)のクローニングを行った。種々のPCR法を用いて、最終的に周辺領域も含めて6kb以上の配列を決定できた。得られた配列は、ACaseに特徴的な種々の配列(Motif G protein receptor, Leucine-rich repeats等)を含んでいた。さらに、Aspergillus parasiticusからG-protein遺伝子をクローニングした。今後、遺伝子破壊株を作出し、GUSレポーター活性およびアフラトキシン生産活性を調べる予定である。
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