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2005 年度 実績報告書

凍結耐性獲得に関与するタンパク質の細胞膜挙動に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 17380062
研究機関岩手大学

研究代表者

上村 松生  岩手大学, 農学部, 教授 (00213398)

研究分担者 伊藤 菊一  岩手大学, 農学部, 助教授 (50232434)
キーワード環境適応 / 細胞膜 / タンパク質 / 低温応答遺伝子 / 凍結耐性 / 凍結傷害 / シロイヌナズナ
研究概要

温帯性植物が低温に曝されて凍結耐性を獲得する過程(低温馴化過程)で特異的な増加がみられる細胞膜タンパク質の機能を凍結傷害発生の初発部位である細胞膜の凍結脱水下における挙動に注目して解明することを目的に研究を行った。平成17年度は、低温馴化過程で増加する細胞膜タンパク質(Arabidopsis lipocalin-like protein, AtLCN)に注目し、AtLCN遺伝子を恒常発現プロモーター(CaMV35S)に結合し、Agrobacteriumを用いてシロイヌナズナに形質転換した。得られた形質転換体の複数の系統を用いて凍結耐性を個体、葉、単離プロトプラストで評価したところ、野生型より高い耐性を示した。さらに、AtLCNタンパク質が示す凍結耐性増大メカニズムを明らかにするため低温顕微鏡を用いて単離プロトプラストの凍結融解過程を観察したところ、AtLCN過剰発現形質転換体では特定の凍結傷害機構(凍結過程で起こる凍結脱水により収縮した細胞が、融解過程に起こる吸水による膨張に耐えられずに破裂して傷害が発生する機構)が起こりにくくなっていることが示された。ついで、大腸菌で組換えAtLCNタンパク質を大量に生産する系を確立し、得られた組換えタンパク質を用いてAtLCN抗体を作製した。この抗体を用いて免疫電子顕微鏡観察によってAtLCNタンパク質の細胞内局在を調べたところ、多くが細胞膜近傍に存在することを確認した。野生型シロイヌナズナを低温馴化した場合も、AtLCNは細胞膜近傍に存在していることも明らかになった。以上のことから、低温馴化過程で増加する細胞膜タンパク質AtLCNは、何らかの形で細胞膜との相互作用により、凍結融解過程における細胞膜の安定性を増し、凍結耐性を増加させているものと示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Responses of the plasma membrane to low temperatures.2006

    • 著者名/発表者名
      Matsuo Uemura
    • 雑誌名

      Physiologia Plantarum 126

      ページ: 81-89

  • [雑誌論文] Identification of 33 rice aquaporin genes and analysis of their expression and function.2006

    • 著者名/発表者名
      Junko Sakurai
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology 46

      ページ: 1568-1577

  • [雑誌論文] 植物体の細胞レベルにおける凍結ストレス耐性獲得機構2005

    • 著者名/発表者名
      佐々木 裕
    • 雑誌名

      低温生物工学会誌 51

      ページ: 75-80

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [図書] Cold Hardiness in Plants : Molecular Genetics, Cell Biology and Physiology2006

    • 著者名/発表者名
      Tony Chen (Edited)
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      CAB International

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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