研究課題
凍結傷害発生の初発部位である細胞膜の凍結脱水下における挙動に注目して、低温馴化過程で特異的な変動が見られる細胞膜タンパク質の機能を解明することを目的に研究を行った。平成19年度は、凍結耐性増大に関係することが既に知られている低温応答性細胞膜タンパク質の一つArabidopsis lipocalin-like protein(AtLCN)のリン脂質小胞の凍結融解過程における安定性への影響を引き続き解析した。その結果、AtLCNは脂質小胞の凍結誘導性融合現象を押さえるものの、凍結下で起こる小胞からの内容物の漏出には全く影響を及ぼさないことが判明した。つまり、懸濁液の凍結によって未凍結部分に濃縮し物理的に高い圧力を受けて起こる小胞間の相互作用には保護的に働くものの、小胞の膜二重層の安定性そのものには保護効果がないことを示している。さらに、細胞膜マイクロドメインに局在するタンパク質の網羅的同定と低温馴化の影響についても研究を進めた。マイクロドメインはステロールと糖脂質であるグルコセレブロシドに富んだ非陰性解明活性剤に不溶性の細胞膜画分で、低温馴化過程で細胞膜における割合が減少することがわかっている。その中には、今回、細胞の様々な機能に重要な働きをするタンパク質、具体的には、細胞膜-細胞壁の相互作用(細胞骨格)に関するもの、細胞内膜輸送系に関わるもの、膜輸送に関するものなどが局在することが判明した。これらのタンパク質の約40%が低温馴化過程で量的に変動し、マイクロドメインが低温馴化で果たす機能的重要性を示唆していた。現在、興味深い変動を示すマイクロドメインタンパク質のいくつかを拾い出し、機能解析を進めている。
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Plant, Cell and Environment 31
ページ: 354-365
Plant, Cell and Environment 31(掲載確定)(印刷中)(Published Online)
Plant and Cell Physiology 49
ページ: 30-39