研究課題
ALG-2と直接あるいは間接的に相互作用する因子がいずれも生体膜に関係することに着目し、相互作用因子の機能解析を通して、ALG-2の細胞膜受容体のMVB選別輸送制御における役割を分子細胞生物学的に明らかにすることを目的とした。1.ALG-2の新たな相互作用因子としてリン脂質混合酵素PLSCR3を見出し、ALG-2結合部位が2箇所存在することを明らかにした(ABS-1、ABS-2)。ALG-2の種々変異体を作製して、ABS-1、ABS-2の結合能を調べたところ、両結合部位に対して異なるパターンを示した。ABS-1とABS-2は配列が異なり、ALG-2の異なる部位に結合することが推測された。ABS-1は既にALG-2と相互作用することが明らかとなっているAlix/AIP1、アネキシンVII、XI分子内の結合部位と類似しているが、ABS-2は新規なモチーフであることが判明した。2.ALG-2がMVBにおける選別輸送に関与するESCRT-Iの構成成分であるTSG101と直接カルシウム依存的に結合することを見出したが、TSG101のALG-2結合モチーフもABS-1と類似している。3.ESCRT-III構成成分であるCHMPファミリーの新規メンバーとしてCHMP7を同定した。CHMP7は他のCHMPメンバーと異なり、N末端側に機能未知領域をもつが、SNF7ドメインはCHMP6と最も相同性が高く、Alix相互作用因子CHMP4とヘテロダイマーを形成すること、HeLa細胞にCHMP7を過剰発現させると細胞内に取り込まれたEGFのリソソームでの分解を抑制することが示唆された。4.AlixがRabGAP様の構造をもつ因子と相互作用することを明らかにし、RabGAPLPと命名したが、2型神経線維芽腫症NF2の原因遺伝子産物merlinの相互作用因子MAPと同一であった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Biochemical Journal 391
ページ: 677-685
Biosci.Biotech.Biochem. 69
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