研究課題
サーモライシン(以下TLNと略す)は高濃度の塩の添加により十数倍も活性が上昇する。低塩濃度下での低活性型から高塩濃度下での高活性型に移行する分子機構を検討するため、4M NaCl存在下でのX線結晶解析を行なった。大きい構造変化は認められなかったが、NドメインとCドメインの間がやや開くことが認められ、これが活性化に関与する可能性が示された。われわれはTLNの天然型変異体としてTa(Val140Ala)とTb(Ala73Val)を見出している。変異型Taで140位のバリンがアラニンに変換されている。これは、野生型TLNに比べ、好塩性とZAPM合成能が上昇した。Tbでは73位のアラニンがバリンに変換されており、これは野生型酵素に比べZAPM合成能が低下した。蛋白質分解活性はTaで低下、Tbで上昇した。このような基質特異性の変化をもたらす構造因子を解明し、TaとTbの構造を野生型TLNの構造と比較するためにX線結晶解析を行なった。三者の間に明確な構造上の差異を見出せず、酵素機能の発現が極めて微小の構造変化に支えられていることを確認した。われわれは、活性部位にあるZnから20Å以内で水との接触率が20%以上のセリン残基8個をアスパラギン酸またはリジンに変換し、電荷を導入し、好塩性に対する分子表面静電場の効果を検討した。Ser53AspおよびSer65Asp変異体は高い熱安定性を示した。分光学(吸光度、蛍光、円二色性スペクトル)を用いて、この安定化の原因を検討した。さらにTLN分子表面と活性部位残基の改変による活性の増強、アスパルテーム合成反応中における原料と生成物の安定化を目的にTLNの至適pHの酸性域への拡大、TLNの長時間の活性保持を目的に自己消化の抑制と安定化を達成した。
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