研究課題
サーモライシン(以下TLNと略す)は高濃度の塩の添加により十数倍も活性が上昇する。低塩濃度下での低活性型から高塩濃度下での高活性型への移行に関する分子機構を検討するため、4M NaCl存在下でTLNのX線結晶解析を行なった。大きい構造変化は見られないが、NドメインとCドメインの間隙がやや開き、これが活性化に関与する可能性がある。このことは、4MNaCl存在下において観測されたTrp残基の溶媒露出度とANS結合度の増大によく対応した。TLNの大量かつ効率的な精製法の確立を目的として、アフィニテイークロマトグラフィー用ゲルを開発した。基材としてToyopearl HW-65を用い、これに炭素(あるいは酸素)原子数2、11、13個のスペーサーを介し、各種リガンドを導入した。樹脂に対するTLNの結合定数と最大吸着量を比較したところ、スペーサー長は13原子分で、リガンドGly-D-Pheを持つ場合が最も効果的であることが示された。従来TLNの大腸菌内で発現では、発現させたプレプロ体を自己触媒的に活性化し成熟体を得るが、変異酵素では特異性の変化や活性低下によりプレプロ断片がうまく除去できず、変異酵素を調製できないことがある。今回、プレプロ配列と成熟配列を別々かつ同時に大腸菌発現させ、従来法では得られなかった変異酵素を得る方法を開発した。TLNに[G8C/N60C/S65P/L144S]の4重変異を導入し、活性と安定性が顕著に増大した変異型酵素を作出した。TLNに各種二糖類を添加したところ安定性が増大し、とくにトレハロースにより熱変性温度は17℃も上昇し、T50は85℃であった。TLNの初発自己消化点L155-I156に変異を導入した[L155S/I156N]あるいは[L155S/I156V]では自己消化が完全に抑制されており、使用安定性の高い酵素が得られた。
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