研究課題/領域番号 |
17380069
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
永井 和夫 中部大学, 応用生物学部, 教授 (00011974)
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研究分担者 |
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 教授 (20272693)
大西 素子 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (00312653)
南 基泰 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (90340207)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収抑制剤 / 骨粗鬆症 / 植物代謝産物 / ネポジン / フラボノイド / EGCG / 有機スズ化合物 |
研究概要 |
申請者らは、臨床応用が可能な骨吸収抑制剤を得る目的で、破骨細胞の分化及び成熟破骨細胞の機能発現過程に作用する活性物質を微生物および植物代謝産物中から探索し、新たに植物代謝産物からフラボノイド類フラボノール類およびネポジン(nepodin)に破骨細胞の分化と機能発現を阻害する活性があることを見出した。また環境汚染物質である有機スズ化合物に破骨細胞の分化阻害活性があることを見出した。 本年度は、これらの化合物の分子及び細胞レベルでの作用機構の解析を解析し、下記の結果を得た。 1)マウス骨髄細胞やRAW264細胞培養においてフラボノイド類であるApigenin、Baicalein、フラボノール類であるFisetin、Kaempferolは、破骨細胞の分化マーカー酵素であるTRAP活性と成熟破骨細胞の形成を阻害した。フラボノイドの内、破骨細胞の初期分化阻害活性の強さは、次の順であった。Luteolin=Fisetin>Quercetin>Baicalein>kaempferol>Apigenin=EGCG。象牙切片上での破骨細胞の培養によるピット形成に対するフラボノイドの影響を検討した結果、Apigemin、Baicalein、Luteolin、Fisetin、Kaempferolいずれもリング状の細胞骨格を破壊する濃度でピット形成を抑制した。 2)緑茶等に含まれるカテキン類の主成分であるEGCGによる破骨細胞の細胞死誘導にはBリング4'とDリングの4"の2つのOHが重要な働きをすることが示唆され、この結果はカテキン類縁体のうちEGCGの細胞死誘導活性が最も高いことを説明した。 3)ギシギシの根に含まれるネポジンに破骨細胞初期分化を阻害する活性があることを見出した。 4)有機スズ化合物トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT)が破骨細胞分化を選択的に抑制することを見出した。さらに、その作用機序はレチノイン酸受容体を介したNFAT2(被骨細胞分化に必須の転写因子)の発現の抑制にあることを明らかとした。
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