研究課題
基盤研究(B)
アロサミジンは研究代表者が1986年に発見した放線菌の生産する二次代謝産物で、キチナーゼ阻害物質として最初に見出された化合物である。アロサミジンは特異な擬似三糖構造を有し、種々の生物の持つキチナーゼの生理的役割や酵素反応機構、さらには有機合成化学や酵素阻害物質研究の発展に大きな貢献を成し得て来た。研究代表者はアロサミジンとその関連分野において常に世界をリードして来ている。その中で最近、アロサミジンが持つ2つの新しい作用が明らかとなった。一つは、アロサミジンの抗喘息作用であり、もう一つはアロサミジンが自身の生産菌に示すキチナーゼ生産促進作用である。哺乳類はキチナーゼを生産するが基質であるキチンを生体成分として持たず、アロサミジンの抗喘息作用はキチナーゼ阻害とは異なる機構によるものと考えられ、それは新規抗喘息薬の開発につながる。他方、微生物の二次代謝産物は数多く知られるがそれらの生産菌における生理的役割が判明している例はほとんど無く、アロサミジンのキチナーゼ生産促進活性は二次代謝産物の生理機能が明らかとなった貴重な例である。また土壌中にはキチン質が豊富に存在するが放線菌はキチンの主分解者である。従ってアロサミジンは環境中でのキチン代謝回転をコントロールする鍵物質としての機能を有する可能性を持つ。本課題では、それらアロサミジンの示す新しい作用の分子機構を明らかにすることを目的として研究を開始した。3年間の研究期間において、アロサミジンの類縁体であるデメチルアロサミジンが効果的な抗喘息作用を示すことの発見、アロサミジン類の抗喘息作用におけるターゲット分子がキチナーゼ様タンパク質である可能性が高いこと、二成分制御系を介したアロサミジンのキチナーゼ生産促進機構の分子レベルでの解明等大きな成果を得た。
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