研究概要 |
1.IgA産生増強細胞の機能発現機構の解析 (1)IgA産生増強細胞の微生物由来物質による活性化 CD3^-IL-2R^+細胞のTLR mRNA発現を定量RT-PCRにて調べたところ、TLR1-9のうちTLR5以外の発現が確認され、特にTLR-3,7,8の強い発現が認められた。発現の認められたTLRのリガンド物質を用いてCD3^-IL-2R^+細胞を刺激し、IL-5産生を調べたところ、polyI:C dsRNA刺激により著しいIL-5発現、およびIL-5の分泌が認められた。またpolyI:Cを経口投与した場合にパイエル板細胞においてIL-5 mRNA発現が認められた。 一方、パイエル板樹状細胞は、LPS, CpG ODN刺激に対し、IL-6を産生することが確認された。CpG ODNの経口投与により糞中のIgAが増加し、またCpG ODNにより刺激したパイエル板樹状細胞の移入により糞中のIgA産生が増加する傾向が観察された。 (2)高齢におけるIgA産生増強細胞の機能の変化 老化により免疫機能が低下している状態においてのCD3^-IL-2R^+細胞・樹状細胞の機能について解析するため、高齢、若齢マウスパイエル板細胞のIL-5、IL-6産生について検討した。その結果、これらサイトカイン産生能については高齢マウスの方が高かった。 2.経口免疫寛容における制御性低応答化T細胞の機能発現機構解明 経口免疫寛容T細胞において発現量が高いZfhx1b遺伝子をT細胞に導入し過剰発現させる実験系を確立した。またFasL、IL-10R、TGF-βの免疫抑制における関与について中和抗体による阻害実験により検討したところ、CD62L^<high> T細胞による免疫抑制についてはTGF-βの関与が示唆された。一方、CD62L^<low> T細胞については、FasLの発現が高かったものの、FasL抗体による免疫抑制活性の阻害は認められなかった。
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