研究課題/領域番号 |
17380079
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
加藤 範久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (20144892)
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研究分担者 |
岡 達三 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50116795)
水品 善之 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (20307705)
矢中 規之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)
松原 主典 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (90254565)
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キーワード | ビタミンB6 / 大腸癌 / オートファジー / DNA microarray / ホモシステイン / 銅イオン |
研究概要 |
1.オートファジーは腫瘍発現と密接な関係にあるので、ビタミンB6のオートファジーに対する影響について解析を行った。その結果、肝臓や繊維芽細胞などの癌細胞において栄養飢餓によるオートファジーの誘導がB6(pyridoxal、pyridoxal 5'-phosphate)添加により著しく抑制されることを明らかにした。従来、オートファジーを抑制する栄養素としては、アミノ酸(ロイシン)が報告されていたが、それ以外の栄養素としては、はじめての発見であった。 2.細胞培養系の実験において、ホモシステイン添加による酸化ストレスやアポトーシスの誘導が、B6添加によって抑制され、その効果は特に銅イオンの共存下で顕著に現れることを明らかにした。この結果は、B6の抗酸化作用に銅イオンが関与するという新しい機構を示唆している。 3.食餌B6量が体内の各組織中のB6代謝物に対していかなる影響を及ぼしているのか再検討を行った。その結果、従来、肝臓のB6代謝物がB6欠乏食の影響を受けやすいとされ、多くの研究が報告されているが、消化管(大腸、小腸、胃)や白色脂肪組織のB6代謝物の方がはるかに影響を受けやすいことが明らかとなった。この結果から、B6の抗腫瘍作用が特に大腸で顕著に現れる理由が説明可能となった。 4.B6摂取に応答する大腸の遺伝子を探索するために、大腸のRNAを抽出し、DNA microarray法により解析を行った。その結果、Tff2、Reg4、ABCA12、capなどの遺伝子発現が著しく抑制されていることが明らかとなった。変動が見られた遺伝子の幾つかは、組織障害に伴って変動する遺伝子であり、B6が大腸粘膜の障害を抑制し、大腸癌発現を低下させるとする我々の仮説を支持していた。
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