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2006 年度 実績報告書

ステロール吸収に関与するたんぱく質の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 17380082
研究機関東北大学

研究代表者

池田 郁男  東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (40136544)

キーワードATP binding cassette transporter / SHRSPラット / 植物ステロール / コレステロール / シトステロール / 大豆たんぱく質 / ラット / small geterodimer partner
研究概要

前年までの研究で、ATP binding cassette transporter (ABC) G5に変異があり、体内に植物ステロールが蓄積するSHRSPラットにおいて、小腸からリンパへのシトステロールやカンペステロールの吸収率は、正常ラットであるWistarラットと同程度であることが示された。この点をさらに確かめるため、放射性コレステロールおよびシトステロールを含む胆汁酸ミセルをSHRSPおよびWistarラットの空腸内へ注入し、それらステロールの小腸粘膜への取り込みを経時的に測定した。その結果、コレステロールおよびシトステロールいずれも両系統間で差は認められず、ステロール吸収には違いがないことが再び確かめられた。また、取り込まれたシトステロール/コレステロール比は、経時的に上昇した。もし、シトステロールがABCG5およびABCG8により素早く小腸粘膜細胞から小腸内腔へ排出されているとすると、シトステロール/コレステロール比は減少するはずである。従ってこの実験からは、小腸粘膜細胞からシトステロールが素早く排泄されているとは考えられなかった。
これまで、ABCG5とABCG8の小腸や肝臓での発現が食事成分により調節を受けているかどうかはほとんど研究がない。そこで、これまでコレステロール吸収を阻害することが知られている分離大豆たんぱく質(SPI)およびコントロールとしてカゼインをWistarラットに摂食させ、ABCG5,G8の発現を中心に調べた。空腸および回腸では、ABCG5およびG8mRNA発現にはSPI摂取の影響はなかった。一方、肝臓では、ABCG5およびG8mRNAはいずれも数倍に上昇した。おそらくはこれに伴い、胆汁へのコレステロール排出が、SPI食で増加した。ABCG5およびG8の発現はliver X receptor (LXR)で調節されている。そこで、LXRの刺激により発現が上昇するいくつかのたんぱく質のmRNAを測定したところ、CYP7A1では上昇が認められたが、その他はむしろ低下傾向にあった。CYP7AlmRNAの発現調節は、small heterodimer partner (SHP)とliver receptor homologue-1(LIH-1)でも行われているが、SHPmRNAの発現はSPI摂食で低下していた。SPIは胆汁酸の再吸収を抑制することが知られている。肝臓への胆汁酸流入が減少するとSHPの発現が減少し、これに伴い、LRH-1に結合するSHPが減るため、活性型LRH-1が増加し、このLRH-1がCYP7A1の発現を亢進すると考えられる。最近、ABCG5およびG8の発現調節にLRH-1が関与することが報告された。従って、活性型LRH-1の増加が、CYP7A1の発現増加だけでなく、ABCG5およびG8の発現を充進した可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Lymphatic absorption and deposition of various plant sterols in stroke-prone spontaneously hypertensive rats, a strain having a mutation in ATP-binding cassette transporter G52007

    • 著者名/発表者名
      T.Hamada, et al.
    • 雑誌名

      Lipids 42

      ページ: 241-248

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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