研究課題/領域番号 |
17380083
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
横越 英彦 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70109320)
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研究分担者 |
新保 真理 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (20300139)
寺島 健彦 浜松大学, 健康プロデュース学部, 助手
早瀬 和利 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10144180)
野村 正彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30051527)
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キーワード | ストレス / 情動解析 / セロトニン / クロモグラニンA / ブナハリタケ / γ-アミノ酪酸(GABA) / レモン精油 / テアニン |
研究概要 |
いくつかの食品素材について、in vitroでの培養細胞系、組織切片灌流法、in vivoでの動物実験、またヒトボランティア試験で脳・神経科学的に解析し、また、ストレスに対する影響を解析した。 (1)緑茶成分テアニンの脳神経機能に関する研究 テアニンについては、これまでリラックス効果のあること、血圧上昇を抑制するなどの精神活動や神経活動への影響を解析してきた。今回、ストレスに対してどのような影響を与えているかを調べるために、S.I.M.P.L.E.(実験室実験用主観評価と精神課題プログラム)という計算ストレスを負荷し、その後の脳波を解析することにより快適度などを調べた。また、気分調査(POMS)も解析した。その結果、テアニンの摂取により脳波快適度が上昇していた。同時に、嗜好性や習慣性の違いによる影響も見られた。 (2)レモン香気成分による脳神経機能に関する研究 レモン精油中には、リモネン、ピネン、シトラールなど多くの香気成分が含まれており、その脳への影響を解析した。まず、これらの香気成分が脳に取り込まれること、また、いくつかの脳内神経伝達物質の変動を引き起こすこと、また、ラットでの行動への影響も観察された。そこで、ヒトボランティア試験により、クレペリンテストでストレス負荷を行い、その後のストレスマーカー、及び、脳波快適度を調べることにより心身ストレスへの影響を解析した。 (3)ブナハリタケによる脳神経機能に関する研究 これまでにラットを用いた研究で、ブナハリタケにより脳内のドーパミン放出が促進すること、また、受動的回避試験で記憶学習行動を観察した結果、改善効果を明らかにした。そこで、今回、ヒトボランティアを対象にブナハリタケ粉末の連続投与により、ストレス負荷後の気分に対してどのような影響があるかを検討中である。 (4)γ-アミノ酪酸(GABA)による脳神経機能に関する研究 これまでにGABAのラットへの投与による脳内神経伝達物質の変動や記憶・学習能への影響を明らかにしてきた。今回、ヒトボランティアを対象にGABA摂取の有無による内田クレペリンテストの計算ストレスを負荷した直後のストレスマーカーを測定することにより、精神的ストレスの程度を解析した。GABAそのものについての基礎研究は、これまでにも行っており、今回は、実際の食品としてコーヒーや乳飲料中のGABAの影響を解析した。その結果、GABAが多く含まれることにより、ストレスマーカーの一つである唾液中クロモグラニンAの増加が顕著に抑制された。
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