研究課題
これまで、いくつかの食品素材について、in vitroでの培養細胞系、組織切片灌流法、in vivoでの動物実験、またヒトボランティア試験でストレスに対する影響を脳・神経科学的に解析した。その結果、緑茶成分テアニンやγ-アミノ酪酸(GABA)に抗ストレス作用のあることを明らかにした。また、柑橘香気成分であるリモネンやピネンなどにも同様の影響が観察された。そこで今回は、それらの食品成分が脳において、どのような機序で生理作用を発現しているのか、例えば、テアニンについてはシナプスでのドーパミン放出促進機構を解明するためにグリシンレセプター、GABAレセプターを中心に、また、ヒトボランティアに対しては、新規のストレスマーカーの検索を同時に行いたいと考えている。最終的に、心身ストレスに対する食品成分の改善機構の解明ができ、そのことにより新規の商品開発などの社会貢献ができればと考えている。○緑茶成分テアニンの脳神経機能に関する研究テアニンについては、これまでリラックス効果のあること、血圧上昇を抑制するなどの精神活動や神経活動への影響を解析してきた。今回、ストレスに対してどのような影響を与えているかを調べるために、シナプスでのテアニンの神経化学的解析、また、S.I.MP.L.E.(実験室実験用主観評価と精神課題プログラム)という計算ストレスを負荷し、その後の脳波を解析することにより快適度などを検討したい。また、ストレス評価のベストな主観評価法を検討し、従来から行われている気分調査(POMS)と比較検討した。○レモン香気成分による脳神経機能に関する研究これまで、ラットの脳切片を用い、柑橘香気成分を作用させた時の脳内神経伝達物質の変動を高速液体クロマトグラフィーで解析し、その結果、香気成分による神経伝達物質の放出の変動が確認された。今回は、香気成分による各種の情動や行動への影響が予測されるので、ストレス負荷時の影響などを解析し、社会的な応用面についても検討した。○ブナハリタケによる脳神経機能に関する研究これまでにラットを用いた研究で、ブナハリタケにより脳内のドーパミン放出が促進すること、また、受動的回避試験で記憶学習行動を観察した結果、改善効果を明らかにした。そこで、今回、ヒトボランティアを対象にブナハリタケ粉末の連続投与により、ストレス負荷後の気分に対してどのような影響があるかを検討した。○γ-アミノ酪酸(GABA)による脳神経機能に関する研究これまで、GABAによる脳神経機能に関する研究を中心に行ってきたが、GABAにより成長ホルモンの分泌が促進することから、脳下垂体への影響を解析したい。また、血中の脂質量の変動を見いだしたので、それらの代謝変動機構の解明を行いたい。GABAは、一般食材にも含まれているが、特に代謝変動を健康維持のために利用するための新規の機能性を有した食品開発につなげるような応用研究も行った。
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