研究課題
北海道のダケカンバ林を対象に、地上からの毎木データから個体葉面積および林分LAIを推定すると同時に、MacArthur-Horn法で得た林分葉量垂直分布を葉の傾斜角の垂直変化測定値で補正する方法を提案した。この方法は既存のアロメトリーを利用して林分葉量垂直分布を推定し森林動態モデルを検証する有効な手段となる。個体間競争下における樹冠の発達過程を把握するため、北海道のミズナラ優占林の8年間の観察データからミズナラ樹冠の発達方向について解析した。樹冠を楕円体と仮定し、樹形測定データをもとにレイトレーシング法を用いて樹冠の部位ごとの光強度を計算した。樹高成長に対しては樹冠頂上の光強度が、水平方向の伸長に対しては伸長方向の樹冠表面の光強度が正の効果を持つことがわかった。また、中国安徽省黄山地区の針葉樹林に優占するバビショウとコウヨウザンの稚樹の樹形発達と個体直上の光強度を調査した。バビショウは、側枝より主軸の成長を優先させ、光強度の変化に伴い樹形を大きく変化させる典型的遷移初期種の特徴を持つことがわかった。更に、シラカンバ49個体の樹形測定データを、新規導入した統計解析システムRを用いて再解析した結果、個体の幹伸長量と、個体内で死亡する当年生枝の長さや葉量との間の定量的関係の存在が明らかになった。大量の樹形データ処理のためのRの導入・プログラミングに予想以上に時間を要したため、当初目的である枝葉スケールの動態と群落スケールの現象との直接の関連づけには至らなかったが、全研究期間に、個体成長と枝葉の成長や枯死、個体樹冠発達と樹冠内のローカルな光環境との関連等、枝葉スケール動態と群落状態の個体の樹形発達や成長との関連に関する重要な知見を得た。群落スケールのモデリングは個体成長の集合であることから、枝葉スケール動態〜群落スケール動態の結合に関する研究の方向性が明確になった。
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Plant Growth Modeling, Simulation, Visualization and A pplications-Proceedings of PMA06
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