研究課題/領域番号 |
17380086
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
青井 俊樹 岩手大学, 農学部, 教授 (70125277)
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研究分担者 |
松原 和衛 岩手大学, 農学部, 准教授 (70258804)
澤口 勇雄 岩手大学, 農学部, 教授 (80302058)
國崎 貴嗣 岩手大学, 農学部, 准教授 (00292178)
出口 義隆 岩手大学, 農学部, 准教授 (40344626)
原科 幸爾 岩手大学, 農学部, 講師 (40396411)
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キーワード | ツキノワグマ / 行動圏 / 被害発生・防除 / 農林地 / 食痕 / DNA |
研究概要 |
・遠野地区において、前年度に引き続き6頭の発信器装着個体の追跡を実施した。うち2頭については、ほとんど電波を取ることが出来なくなった。調査範囲外への移動もしくは発信器の不調が考えられた。それ以外の個体については、ほぼ前年度と同様なエリア内に行動圏を持ち、またそれらは重複していた。また20年度はコナラ、クリの堅果類が並作だったこともあり、追跡個体による農作物加害は確認されなかった。 ・雫石地区においても、前年度に農家の飼料用サイロに侵入したため、有害捕獲されその後岩手大学御明神演習林の最奥部で放獣した個体を追跡した。冬眠地点は人里のすぐ近くであったが、初夏には奥羽山地の奥深く、秋田県の県境付近まで移動した。これはおそらくブナの開葉や草本類の成長などの植物フェノロジーの進捗にしたがって、高標高地へ移動して行ったと考えられた。しかし、8月になると一気に里地へ回帰し、特に前年に侵入した農家が所在する集落のすぐ裏手の山林内を中心に小さな移動を繰り返していた。しかし、長時間の監視を行ったところ、当該個体の再加害は確認されなかった。おそらく、里地周辺の山林内には、キイチゴ類やアリ類などの夏季特有の食物資源が比較的多く存在しているためと考えられた ・遠野地区のクマによる食害発生農地において、前年に引き続きコーン類を中心とした食痕からDNA採取、増幅に努めた結果高い比率で(50〜60%)個体識別に成功し、結果として3年間に調査エリア内に35個体のクマが加害していたこと、そのほとんどがオスであったことなどが明らかになり、今後の被害防除に向けての大きな知見を得ることができた。
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