研究課題/領域番号 |
17380090
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 直人 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (90303255)
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研究分担者 |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
向井 譲 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
安江 恒 信州大学, 農学部, 助教授 (00324236)
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キーワード | ブナ / イヌブナ / 豊凶 / 種子 / 物質収支 / 昆虫 / 熱量 / 炭水化物 |
研究概要 |
小集団や北陸のブナ林で結実周期が長くなるメカニズムを、物質収支と近交弱勢、虫害からの捕食者飽食の観点から、明らかにしていくブナの豊凶のメカニズムを明らかにするために、以下の調査を行った。1.シードトラップによる開花数と落下原因ごとの落下消長。2.開花数・シイナ数・虫害数。3.結実のための投資パターン。2006年は、関東地方から中部地方の太平洋側で、並作になった。2006年には、埼玉県秩父市にある東大秩父演習林のブナ・イヌブナ混交林、富士山のブナ林で調査を行った。自動記録装置付きデンドロメータで、肥大パターンを記録した。また、年輪生長パターンを解析するために、傷つけ法も併用した。2005年の研究結果から、ブナは7月〜8月にかけて、急激に養分を種子に投資することが明らかにされたので、この期間に集中的に枝を採集し、殻斗や種子の重量と熱量を測定した。並昨年においては、ブナの個体による着果量のばらつきがきわめて大きく、まったく開花していない個体も約3割認められた。シードトラップを調査個体の樹冠下に設置して落下種子数を調査したが、シードトラップに落下するまでに風などで空間的なばらつきがランダマイズされてしまうため、樹冠の直接観察による着果量推定と、シードトラップによる落下量との間の相関は高くなかった。従来の研究で、肥大成長と着果量データの間に明瞭な関係が認められない原因は、シードトラップの結果が、目標個体の着果量の指標として適切でないことに起因している可能性が示唆された。成分分析用のサンプルの準備を行い、H20年度の解析に供する。
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