九州大学附属演習林やハリケーンの被害のある半乾燥地も含むメキシコ東シエラマドレ山地の森林斜面において(地形、地質、森林被覆面積率、樹種、森林施業形態の異なる)斜面7箇所に雨量計および土壌水分計を設置し、雨量と土壌水分量の降雨終了後の時間変化や半減期を、観測した。同時に、数箇所の現地斜面の土層サンプルを採取し、土壌水分量測定精度の確認も行った。 その結果、メキシコのハリケーン災害の被災地においても、(1)森林斜面崩壊が発生する降雨パターンの特徴が分かり、警戒基準雨量の設定可能性があること、(2)福岡地域と比べて土壌水分量の減少速度が遅く、斜面が不安定化する可能性のあることなどが判明した。また、(3)福岡など九州地区の森林斜面においては、表層土層が比較的薄いことも分かり、降雨終了後の土壌水分減少傾向も把握しつつある。このように、土壌水分量を勘案した土砂災害警戒・避難基準設定技術の開発に向けての方向性が見出せた。 来年度も同様の調査を九州とメキシコで継続し、更なるデータの蓄積と解析に勤める。
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