研究課題
本年度も九州大学附属演習林やメキシコ東シエラマドレ山地の森林斜面4箇所に雨量計および8組の土壌水分計とメキシコには地上伸縮計2基を設置し、降雨に伴う土壌水分変動のレスポンス及び降雨終了後の時間変化や半減期ならびに斜面変位を観測した。同時に、インドネシア・スラウェシ島やネパールカトマンズ近郊を含む数箇所の現地斜面の土層サンプルを採取し、透水係数の計測を行った。また、スラウェシ島では土砂流出警戒避難雨量の解析を進めた。その結果、(1)インドネシアを含む各地において、森林斜面変位や崩壊・渓流への土砂流出が発生する降雨パターンの特徴が分かり、時間雨量・累加雨量または最大累積雨量を用いた警戒基準雨量の設定法が提示できた。(2)メキシコの試験地では福岡地域と比べて、透水係数が一桁小さく、特に土壌水分減少速度が遅いことを勘案した基準雨量解析を進めた。(3)福岡地区の森林斜面においては、表層土層が薄く、土壌水分の増加特性や降雨終了後の土壌水分減少傾向が早めで、既往研究で指摘されているように先行雨量の影響が小さいことが推定できた。(4)土砂流出に関しても、時間雨量と累加雨量を用いた警戒手法を提示し、この手法がメキシコやインドネシア・スラウェシ島の試験地でも有効であることが確認できた。また、ネパールでの現地調査と雨量データ収集によりネパールへの適応可能性を検討した。このように、研究成果として、九州北部、メキシコ及びインドネシアの試験地において土壌水分量を勘案した土砂災害警戒・避難基準設定手法が提案でき、ネパールについても適応の可能性が検討できた。
すべて 2007 その他
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地すべり学会誌 43(6)
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Proc.of the Japan Korea Taiwan Symposium of sediment-related disasters, Japan Society of Erosion Control Engineering
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