研究課題/領域番号 |
17380098
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 宣子 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80253516)
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研究分担者 |
山田 茂樹 (独)森林総合研究所, 九州支所, グループ長 (80353902)
堀 靖人 (独)森林総合研究所, 林業経営政策研究領域, 室長 (80353845)
興椙 克久 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00403965)
橋口 卓也 明治大学, 農学部, 専任講師 (40282701)
三木 敦朗 岩手大学, 大学教育総合センター, 学術研究員 (60446276)
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キーワード | 森林政策 / 直接支払制度 / 森林整備地域活動支援交付金 / 森林所有者 / 森林の多面的機能 / 森林組合 / 集落 / 林業補助金 |
研究概要 |
森林に対する直接支払い制度導入の可能性と制度設計の課題を探るため、国の施策である「森林整備地域活動支援交付金事業」(2002年度〜、以下、支援交付金)の効果と課題を、(1)林野庁資料の分析、(2)森林所有者への交付事例として静岡県北遠地域と宮崎県耳川流域、(3)長期施業受託者への交付事例として大分県日田市について調査を実施した。更に、他制度と比較検討するため、(1)既存の造林補助金制度、(2)都道府県レベルで導入が広がっている森林環境税、(3)農業における中山間直接支払い制度に関する情報収集及び文献研究を行った。 その結果、第一に、造林補助金は地域ニーズに合わせた森林管理の仕組みを変化させるような波及効果はないのに対して、支援交付金では対象行為実施による効果以上の波及効果(耳川流域では作業道管理体制の強化、日田市では森林組合職員による管内森林把握の向上と安定的な木材供給等)が見られた。第二に、森林環境税は荒廃森林を対象とした強度間伐事業が中心となっており、100%補助で直接行為として実施されていること、しかしそれに対する林業家の不満は強く、今後は所有者や管理者に対する環境直接支払い的な制度が求められていることを示唆した。第三に、農政では直接支払い制度を積極的に位置づけ、一部に農地の林地化メニューがあり、現場では農道と林業用作業道が一体的に管理されている事例もあること、しかし農地を対象に交付されているため特に、山間地域において個別農家や集落単位でも交付額は限定されていることを考察した。以上から、現行め農林二制度統合は難しく、例えば、静岡県や秋田県では農業と林業の各種施策を地域対策として位置づけており、中山間直接支払いと森林交付金を現場で相乗効果があるように情報共有の制度化が必要である。今後は定住対策として、農林地ベースではない山間地への直接支払い制度を諸外国での制度研究と併せて検討することが必要である。
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