研究課題
基盤研究(B)
樹木の木部柔細胞は-40℃以下の低温まで長期間にわたり細胞内の水を液体状態で保つ、深過冷却という特殊な氷点下温度への適応機構を示す。この深過冷却のメカニズムを明らかにするために、深過冷却する木部柔細胞を持つ数種の樹木の木部からメタノール抽出により木部粗抽出物を得て過冷却活性を測定した。その結果、いずれも高い過冷却活性が得られた。抽出物が最も高い過冷却活性を示したカツラを用いて、氷核形成阻害物質の同定を行った。この結果、カツラ木部には非常に多種類の氷核形成阻害物質が存在することが明らかになった。液一液分離、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLCによる段階的な精製の結果、最終的に最も活性の高いシリカゲルカラムクロマトグラフィー画分から4つのピークを得て、化合物をNMRなどにより同定した結果、これらはケルセチンー3-0一グルコシド、ケンフェロールー7-0一グルコシド、8一メトキシケンフェロールー3-0一グルコシド、ケンフェロールー3-0一グルコシドであり、それぞれ2.8℃,9.0℃,3.4℃,4.0℃の高い過冷却活性を示した。これらのうち、ケンフェロールー7-0一グルコシドの示す9.0℃の過冷却活性はこれまでに知られている物質中で最大の活性であった。これらフラボノール配糖体の木部柔細胞内の局在を明らかにすると共に、引き続きこれら物質の木部柔細胞への蓄積の季節性および組織特異性を明らかにした。併せて、樹木からの粗抽出物、および精製したフラボノール配糖体にはバルクの水を過冷却させる効果を持つことを明らかにし、特許出願した。これに基づいて、動物からの摘出臓器の過冷却保存への応用、清涼飲料への添加の効果、および凍結制御剤としての使用を検討した。いずれも良好な結果が得られ現在、その応用に関する幾つかの周辺特許権の獲得を目指している。
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