研究課題/領域番号 |
17380103
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 福岡大学 (2006-2007) 岐阜大学 (2005) |
研究代表者 |
重松 幹二 福岡大学, 工学部, 教授 (00242743)
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研究分担者 |
堤 祐司 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30236921)
岸本 崇生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60312394)
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 准教授 (70192549)
渡辺 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
光永 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20219679)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | バイオマス / 計算化学 / 分子軌道法 / 分子動力学法 / 酵素反応 / 植物 / リグニン / タンニン |
研究概要 |
本研究は、木質バイオマスの化学現象に対して実験困難な現象を、計算化学によって解析可能であるか検証した。 1.リグニンの重合機構 リグニンモノマーの電子状態および反応遷移状態の構造を分子軌道解析し、疎水環境場や酸性条件下では不対電子の偏りと4位酸素負電荷の減少によりβ-0-4結合の生成が容易になること、酸性下ではキノンメチド中間体のα位の負電荷も解消されて水分子の攻撃を受けやすい状況になることを明らかにした。 2.シリンギル核高活性ペルオキシダーゼの解析 化学修飾およびホモロジーモデリングにより、シリンギル核高活性ペルオキシダーゼの活性部位はヘムポケット内ではなく、タンパク表面に露出したTyr残基であることを見出した。また分子軌道解析により、ヘムで発生するラジカルが14Å離れたアミノ酸まで伝播する可能性があることを見出した。 3.バイオマスの熱分解 リグニンモデル化合物とその中間体の結合解離エネルギーを比較し、β-0-4結合の分解はキノンメチド中間体を経て解裂すると考えた。また、多糖類の分子動力学パラメータのチューニングを行ない、高熱水におけるセルロース結晶転移シミュレーションを行なう準備を整えた。 4.リグニン分解酵素の作用機構 基質のHOMOによる酸化反応予測およびNMRシミュレーションを検証し、実験困難な有害性分解物質のスクリーニングと化合物の構造推定に分子軌道法が有効であることを確認した。また、白色腐朽菌が産生する菌体外代謝物のフェントン反応抑制機構は、HOMOの影響ではなく、アルキル側鎖による遮蔽効果によることが示唆された。 5.タンニンの酵素活性阻害機構 カテキンおよび2〜6量体の静電ポテンシャルからタンパク質凝集作用を調べ、双極子モーメントと吸着現象に強い相関が見出された。また、カテキンの加熱による異性化反応を計算化学から予測し、実験値との定性的な一致が得られた。
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