研究課題
基盤研究(B)
木材の材料寿命を明らかにするため、履歴詳細の明らかな文化財指定建造物由来古材について、強度をはじめとした物性評価を行った。具体的には、飛鳥期から現代までの文化財指定建造物由来個材について、人文科学的(文書・建築年代)にも自然科学的(年輪年代・放射性炭素年代)にも矛盾の無い古材試料10点を選定し、物理的特性(密度・強度・ヤング率)、化学成分分析、X線回折測定、FTIR、分光測色により物性評価を行った。さらに、これらの建造物由来古材のコントロール材料として、人為的促進劣化材(熱処理材)を調製し、これらについても同様の物性評価を行った。この一連の検討により、木材の経年変化の主要な要因が熱酸化反応であるとする仮定について温度-時間換算側の摘要が可能であることを根拠として理論構築を行いつつある。次年度以降、木材の経年変化のメカニズムについて、より詳細な検討を行うための基盤が得られたと考えている。以上の成果は、今年度、国内学会7件、国際学会1件、共著論文一件として報告を行った。また、一連の実験に供される古材は、文化財指定建造物由来のものであり、文化庁をはじめとする文化財行政ならびに文化財の保存科学・調査を行う関連研究機関との連携、そして社会的コンセンサスが必要であるという観点から、文化庁主催文化財建造物主任技師研修会における講師、生存圏研究所シンポジウム"木の文化と科学VII"の主催・運営、さらには文化財建造物に関するNHKのTV番組や新聞取材等を受けるなどの、研究活動を展開するための努力を行った。
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