研究課題/領域番号 |
17380107
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中坪 文明 京都大学, 農学研究科, 教授 (10027170)
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研究分担者 |
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50335303)
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00217308)
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 助手 (10293911)
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キーワード | 光電変換機能有機超分子材料 / A-S-D積層膜 / dihydrophytyl celllulose / β-carotene / 分子ワイヤー / 励起S基自己消光阻止 / 高い量子収率 / 光電流発生 |
研究概要 |
本研究の最終目的は光電変換機能有機超分子材料、すなわちA-S-D積層膜(A : electron acceptor, S : sensitizer, D : electron donor)の構築であり、この構築体のマトリックスにセルロース誘導体を利用する計画である。天然のクロロフィルをS層とて用いる本計画では、その疎水基(phtyl基)に着目し、それをアンカーさせるマトリックスとしてdihydrophytyl cellulose(DHPC)を選択した。このマトリックスを用いLB積層膜を調製した際、その疎水部の電子移動が問題となる。そこで、本年度はβ-carotene(BC)がphtyl基と同じ部分炭素骨格を持ち、しかも共役系であることに着目し、LB積層膜での分子ワイヤーとしての機能を確かめた。その結果、1)BCがLB構築体で分子ワイヤーとして機能することを確認した。また、2)S基の導入に際し、dihydrophytyl基を持つS化合物を混合させる簡便な方法とS基をセルロース骨格に直接結合させる方法があるが、後者の場合、セルロースの特定の水酸基(例えば6位OH基)に位置選択的に導入した場合、セルロースの分子鎖に沿って一定の距離(DS0.5の場合10.3A)にS基が配列し、励起S基の自己消光を阻止しえると考えられる。そこで、後者の可能性、すなわち6位にポルフィリンを導入したセルロース誘導体を調製し、光電効果実験を試みた結果、予想通りに高い量子収率で光電流の発生を確認しえた。この結果はセルロース系LB膜では世界初の発見である。上記の結果は、BiomacromoleculeおよびMacromol.Rapid.Commun.に投稿、受理され、特に後者の結果は更に特許申請中である。
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