研究課題/領域番号 |
17380110
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉水 守 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40122915)
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研究分担者 |
澤辺 智雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (30241376)
西澤 豊彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (10222184)
笠井 久会 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教 (50399995)
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キーワード | 牡蠣 / ノロウイルス / 腸炎ビブリオ / 浄化 / V. alginolyticus / 電解殺菌 / 中圧紫外線殺菌 |
研究概要 |
本研究は安全・安心な牡蠣を周年出荷するための研究であり、昨年度までにノロウイルス(NV)の浄化法は、代替えのネコカリシウイルスを用いた評価でほぼ技術的に可能となった。今年度、NV以外の危険要因を検討し、そのリスクを下げる手法について検討し以下の成果を得た。1)牡蠣のリスク評価(HA)では、初夏の貝毒と夏から秋にかけての腸炎ビブリオによる食中毒および冬季のNVによる感染性胃腸炎があげられる。2)貝毒に関しては牡蠣の成熟期と重なり、食味の関係からこの時期は食用に供さないためHAから外れる。3)腸炎ビブリオの原因菌はVibrio属のV. parahaemolyticusであり、牡蠣の腸管内に存在する他のVibrio同様、殺菌海水での浄化は困難であった。4)V. parahaemolyticusは腸管内でのV. alginolyticusとの競合に弱く、V. alginolyticus存在下では分離できなくなる現象が明らかとなった。5)牡蠣の生物餌料であるキートセロスの無菌化か可能となった。6)V. alginolyticus優勢キートセロスを給餌しながら浄化すれば牡蠣が痩せることなくV. parahaemolyticusを排除できると考えられる。ただし,今後詳細に検討する必要がある。7)V. parahaemolyticusも高静水圧に感受性があり160MPa以上で殺菌が可能であった。加工場でのHACCPのCCP項目に導入すれば、物理的処理により安全性が担保され、トレーサビリティーの構築と相まって安心感の提供が可能となる。8)以上、昨年度までの成果と今年度の成果を総合的に組み合わせると、20℃に調温した0.3mg/Lの塩素を含む電解海水あるいは中圧紫外線処理海水を用い、V. alginolyticus優勢キートセロスを給餌しながら浄化すれば、牡蠣が痩せることなく、大腸菌、ノロウイルスおよびV. parahaemolyticusを排除できると考えられる。さらに安全性を確保するために200MPaの高静水圧をかけて脱殻を行えば、安全性はより向上すると考える。
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