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2007 年度 実績報告書

魚類耳石の微量元素組成および安定同位体組成による回遊履歴と集団形成過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17380113
研究機関東京大学

研究代表者

大竹 二雄  東京大学, 海洋研究所, 教授 (20160525)

研究分担者 折橋 裕二  東京大学, 地震研究所, 助教 (70313046)
キーワード耳石 / Sr安定同位体比 / 酸素・炭素安定同位体比 / アユ / カラフトマス / 母川判別 / NanoSIMS / マイクロドリリング
研究概要

耳石の微量元素組成や安定同位体比からアユやカラフトマスの母川判別と回遊機構や集団構造の解明を試みた。1.アユの母川判別および回遊機構:伊勢湾流入3河川と三陸沿岸1河川のアユを材料とした。耳石のSr同位体比(^<87Sr>/^<86Sr>)が生息河川水の比と一致し,母川判別の有効な指標であることが明らかになった。上記4河川のアユについて耳石の核部分と縁辺部のSr同位体比をNanoSIMS(二次元高分解能二次イオン質量分析装置)を用いて分析し,両者の比較から母川回帰の有無を検討した。その結果,母川回帰個体は調査個体の24%のみであり,遡上個体群に占める母川回帰個体の割合は河川により異なり0〜50%であった。アユの母川回帰は仔魚期における河口域の海洋構造に影響される初期分散に関係し,生物特性としての母川回帰性はないものと考えられた。本研究成果はアユ資源の増殖,保全を考える上で極めて重要である。2.カラフトマスの降海直後の分布特性:カラフトマスの耳石の酸素,炭素安定同位体比が孵化場放流魚と野生魚の間で異なり,それに基づく両者の判別が可能であることが明らかになった。また,孵化場魚を用いて耳石輪紋形成の日周性を検討し,日周輪紋であることを証明した。これよりカラフトマス孵化場放流魚,野生魚の降海直後の分布,成長に関する研究が可能になった。3.カラフトマス回帰個体の由来判別:回帰個体の耳石核部分の酸素,炭素安定同位体比をマイクロドリリングー質量分析法により分析し,孵化場放流魚と野生魚の判別を試みた。標識放流魚の分析結果は必ずしも孵化場魚の分析結果と一致せず,その要因としてマイクロドリリングによる分析試料採取における海域生活部分の混入,年度の違いによる飼育環境や飼育水の同位体比の違いなどが考えられた。今後,マイクロドリリング法を改善しながら,さらに検討していく必要性が示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Ion microprobe Sr isotope analysis of carbonates with about five micro-meter spatial resolution:an example from anayu otolith2008

    • 著者名/発表者名
      Sano Yuji
    • 雑誌名

      Analytical Science(掲載確定)

    • 査読あり
  • [学会発表] アユは母川回帰するか?2008

    • 著者名/発表者名
      大竹 二雄
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      静岡県清水市
    • 年月日
      2008-03-31
  • [学会発表] カラフトマスにおける艀化場魚と野生魚の判別法の確立-耳石に含まれるδ^<18>O・δ^<13>Cを用いて-2007

    • 著者名/発表者名
      冨田 泰生
    • 学会等名
      日本水産学会東北支部会
    • 発表場所
      福島県福島市
    • 年月日
      2007-10-26
  • [学会発表] アユ耳石のストロンチウム安定同位体比2007

    • 著者名/発表者名
      鈴木 隆史
    • 学会等名
      日本水産学会秋季大会
    • 発表場所
      北海道函館市
    • 年月日
      2007-09-26

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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