研究課題/領域番号 |
17380114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20092174)
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研究分担者 |
良永 知義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20345185)
横山 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70261956)
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キーワード | 水産学 / 魚病学 / 寄生虫 / 病害性 / 宿主転換 |
研究概要 |
魚類寄生虫が宿主転換して病気を引き起こすメカニズムを解明するため、本来の宿主および他の宿主に対する感染実験を行い、魚種間における感受性や寄生動態の違いを調べた。 1.ウナギのPseudodactylogyrus bini,Pseudodactylogyrus anguillae:ニホンウナギとヨーロッパウナギに2種の単生類を寄生させ、6週にわたって毎週経時的に採材した。その結果、本来の宿主ではないヨーロッパウナギのほうが2種の寄生虫が速く成長し、寄生数も多かった。 2.トラフグのHeterobothrium okamotoi:トラフグを含む様々な魚種に対するH.okamotoi孵化幼生の着底率をin vitro試験により比較した結果、トラフグ属の魚種に対して選択的に着底がみられた。また、宿主特異性には複数の着底誘導因子が関与することも示唆された。 3.トラフグのEnteromyxum leei:養殖マダイとイシガキダイにもやせ病が発生し、感染実験によってマダイも同程度の感受性を有することが確認された。また、海水の塩分と虫体の生存率との関係を調べた結果、E.leeiは8‰以下の低塩分では感染力を失うことが示された。 4.サケ科魚類のKabatana takedai:K.takedaiの感染を受けたサクラマスとニジマスの心臓を病理組織学的に比較した結果、寄生虫の発育や宿主反応に明確な差異は認められなかった。この結果から、K.takedaiがニジマス等、他の魚種でも病気を引き起こす可能性があることが示された。
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