研究課題/領域番号 |
17380121
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
堀口 敏宏 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 総合研究官 (30260186)
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研究分担者 |
白石 寛明 独立行政法人国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, センター長 (10124348)
太田 康彦 鳥取大学, 農学部, 教授 (60069078)
西川 智浩 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, NIESポスドクフェロー (10391137)
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キーワード | インポセックス / ペニス / 輸精管 / 分化 / 成長 / レチノイドX受容体(RXR) / トリブチルスズ(TBT) / トリフェニルスズ(TPT) |
研究概要 |
1)インポセックスにおける生殖輸管の形成及び発達過程 イボニシにおいては、ヨーロッパチヂミボラと異なり、最初に右触角後部にペニスへと分化・成長する細胞塊が生じて表皮を隆起させ、これとほぼ同時期に表皮が陥入・結合して輸精管を形成する。次いで卵嚢腺側及びペニスと卵嚢腺を結ぶ線上の表皮が陥入して輸精管を形成し、ペニス様隆起の形成・発達に伴ってペニス基部の輸精管が進入する。ペニスの成長は、ペニス筋層の発達と輸精管上皮細胞及びそれを取り巻く筋層の発達による。卵嚢腺側で輸精管周辺組織の過形成が伴う場合には陰門が閉塞し、交尾・産卵不能となり、卵嚢腺内に変質卵嚢塊が観察されることがある。なお、卵嚢腺内に摂護腺組織が発達する事例は、現在まで、観察されていない。以上をイボニシのインポセックスにおける輸精管順位指数(VDS Index)として示した。 2)RXRとインポセックス発症との関係 9-cisレチノイン酸(9-cis RA)を用いた筋肉注射試験により、濃度依存的にイボニシにインポセックスが誘導され、雌に形成されたペニスと輸精管が組織学的に雄のそれらと同等であることが明らかとなった。また、イボニシRXRタンパクとの交叉性がウェスタンブロッティングによって確認された抗RXR抗体を用いた免疫染色により、RXRタンパクがペニスや輸精管の細胞、頭部神経節などに分布していることが明らかとなった。 3)RXR遺伝子発現部位の特定 イボニシの雌雄とインポセックス症状の重篤な雌を用いて、real time RT-PCR法によりイボニシの組織別RXR遺伝子発現量を測定した結果、雄ではペニスでの発現量が他の組織よりも有意に高く(p<0.05)、雌ではペニス形成部位における発現量に有意差がなかった。一方、インポセックスを発症した雌イボニシのペニスでも他の組織よりも有意に高いRXR遺伝子の発現が観察された(p<0.01)。
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