研究課題
基盤研究(B)
本研究では、神経細胞およびシナプスの受容体に対し興味深い活性を示す新規ポリアミンオリゴマー(LCP-Aa),ポリアミンにより修飾を受けたペプチドアーキュレイン、神経毒作用を示す新規プリン誘導体クリブロプリン、新規タンパク質毒ソリテシジンを単離した。LCPA-Aaについては、NMDA受容体に対してリガンドの結合を促進する作用およびマウスに対して遅発性の痙攣誘発作用を持つほかにも、海綿において骨片の形成に関与している可能性を見出した。クリブロプリン酸は海馬の神経細胞に対し自発的な痙攣様の電流を引き起こした。また、パラオ産海綿Raspailiaspに含まれるラスピロールが既知化合物ではあるがマウスに対して痙攣誘発作用を示すことを初めて見出した。一方で、ミクロネシア産海綿Lendenfeldia chondrodesに含まれる興奮性アミノ酸ダイシハーベインが海綿に共生する藍藻Synechocystisの一種に局在することを解明し、藍藻がダイシハーベインの生産に重要な役割を果たしている可能性を提示した。また同海綿から新規のデオキシノジリマイシン誘導体を得た。さらに、西表産の海綿Cinachyrella spに含まれる神経シナプス受容体の増強作用物質(AMPAKine様活性)に関しては、マウスアッセイを指標に活性成分を特定した。また本海綿に含まれるレクチンについても分離を行った。その結果、マウスに対して活性を示す化合物は低分子であり、受容体の増強物質は新規のレクチンである可能性が示唆された。本研究で得られた化合物の構造、生理活性をさらに明らかにしてゆくことでシナプスの受容体の動態を含めた未知の機能が見出されてゆくと期待される。
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(in press)