研究課題/領域番号 |
17380130
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
津谷 好人 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20107014)
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研究分担者 |
守友 裕一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20166424)
茅野 甚治郎 宇都宮大学, 農学部, 教授 (40163729)
秋山 満 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10202558)
原田 淳 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (30241847)
児玉 剛史 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (30359583)
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キーワード | マイナークロップ / スモールビジネス / ポストモダン / ニッチ市場 / 内発的発展 |
研究概要 |
第2年度に当たる本年度は、昨年に続き課題に関する資料・データ収集を行うとともに、その分析結果を5度にわたり研究組織メンバー中心に報告し検討を行った。その一部は論文として公表され一部は論文作成中である。新たに、徳島県の藍や沖縄県のやぎ等の調査情報が加わる中で、次のようなことが明らかになってきた。 マーナークロップの多くは、メジャークロップ中心の大量生産・大量消費型・石油依存型農業というグローバリズム対応の地域社会に代わって期待される、ポストモダン社会において、個性ある地域振興を行っていく上で有効な作物となりうる可能性が大きい。マイナークロップは地域固有の風土に根ざした特産物で、供給量が限られ、小さい市場しか形成できないものの、供給独占を維持できる作物であるからである。小さい市揚であることからスモールビジネスとしてしか成立せず大きな経済的価値は期待できないが、競争優位性を有することから、最低限の安定的・持続的な収入が実現されうる。また、多くのマイナークロップは、作物自体が最終生産物ではなく、加工食品ないしは原料として利用されることが多く、地域固有の食文化あるいは生活に結びついている。このため「ミニマムエコノミー・マキシムユーティリティ」といった理念に基づく、豊かな地域社会・コミュニティを実現するための手段と評価することができる。経済至上主義ではなく、こうした新たな農村経済システムへの転換は相互に扶助し合う内発的発展によって実現される。 なお、一部のマイナークロップは健康食品のニーズ等にニッチ市場を形成し、大きく発展する可能性も秘めている。しかし多くは、経済的価値は小さく、ミニマムエコノミーさえ達成できないので、直接支援等の策も同時に講じる必要があることが、イギリスの調査結果などから明らかになった。
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