研究概要 |
本研究では日本・中国・欧州・米国での各種食品に対するトレーサビリティの取組の実態を明らかにするとともに, どのような情報の提供が要件とされているのか, 情報の信頼性を保証するためにどのような手段が取られているのか, 実際にどのように情報が添付され, ラベルにはどのような情報が盛り込まれているのかを明らかにすることを目的としている. 平成20年度における主な研究として, アイルランドにおける食品安全政策の取り組みについて述べ, 消費者の食品安全意識の分析を行なった. まず, EUにおける牛肉トレーサビリティ・システムの概要を整理し,アイルランド国内の政策的な取り組みについて特に肉牛の固体識別の導入状況について紹介した. 次に, 有機農産物認証について, EUにおける有機農産物認証の取り組みについて述べ, アイルランドにおける認証ラベルの状況について整理した. 地理的表示制度については, まず, EUにおける地理的表示制度の概要について触れ, アイルランド国内における地理的表示制度の普及状況とその制約要因, 今後の取り組み課題について述べた.アイルランドの消費者を対象としたアンケート調査から,食品の安全性の不安感については, 残留農薬, 食品添加物, BSEといった項目について地元消費者の意識が高いことが示された. さらに食の安全確保のための取り組みの不満度を規定する要因について分析を行なった結果, 公的機関の対応への不満度が高い消費者の特徴として,食品不安度が高いこと, 若い世代であること, 食品の購入頻度が低いことが示された. 一方, 公的機関以外の生産・流通業者の取り組みへの不満度が高い消費者の特徴として, 食品の購入頻度が高いこと, 世帯サイズが小さいことが示された.
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